天皇の特例会見が政治問題化するワケ。

今回の天皇の「政治利用」について話が大きくなってしまった。
黙っていれば、何とかなりそうな気もするが、小沢の発言でこじれそうだ。
もっとも、こうした状況は逐一中国に報告されているのだから、日本政府が反対勢力の抵抗に遭いながら、「無理」あるいは「最大限の便宜」をはかろうと努力していると映るだろう。
政府が宮内庁の小役人に対して「譲歩」するようでは、中国は「民主政権」が「弱い」と判断するだろう。
これは、民主にとっても、おそらく日本にとっても「得」ではない。
たかが「天皇」との会見がこれほどの政治的重要性をもつところが、悩ましい。
しかも、ほんの手続き上の行き違いでしかない。
小沢が腹を立てるのも無理はない。
小沢の一連の動きは、アメリカ向けのパーフォーマンスでもある。
しかし、特例会見のゴタゴタは、これによりマスコミの注目を浴びているのだから、政治ショーとしては実は悪くない。
安部元首相も参戦してきたのは、ますます面白い。
宮内庁が「あーそうですか、しょうがないですね。」といえば、それで済む「お話」がである。
中国共産党の権力闘争を勝ち抜いた習近平副主席には、今回の特例会見は、ご辞退申し上げるべきか申し上げるべきではないか悩むところかもしれない。
しばらく、様子見だろうな。
少し天皇制について考えていたところなので、「朝廷」の時の世俗政権に対する「距離」の取り方としてこれが「普通」なのかもしれない。
さらにいえば、日本は民主国家というより、流産した民主国家だと思う。国民国家ではなく、絶対王政の尻尾をいまだに引きずっている。つまり天皇個人に対する「忠誠心」を引きずっているのだ。これが、今の事態を複雑にしている。
「陛下の健康」を「盾」にするところが、いかにももっともらしいが、「健康問題」が即「政治問題」でもあることは、心臓病をもつ小沢が一番よく知っていることでもある。
私としては、小沢の外交的布石が今後有効に機能するのかということに関心がある。
どうもアメリカの日本に対する世論が、日本に対して有利に動いていく「気配」がある。
日本が中国寄りになるのは、アメリカとしては「ヤバイ」と気がついてきた証拠かもしれない。
こう書いてみて思ったのだが、小沢の戦略は、「うまく」いくのかもしれないと思う。
陛下の「健康」より、小沢「天皇」の「健康」に方が気になる今日このごろである。