嫉妬について8

観察力といえば、人の持つ本来の能力と思われるだろう。
しかし、人は何でもかんでも観察するわけではない。
その対象に対する関心とその持続が必要だ。
持続は経時変化だから当然その対象への観察者の強い拘束を前提にする。また、関心は価値付けを前提にする。
 つまり、観察対象に対する強い嫉妬が前提になって、観察が成立する。
通常は、観察により原因を特定し、その原因に働きかけることにより、問題は解決する。
嫉妬は嫉妬の「原因」を知りたがっているようにみえる。
「嫉妬」は「克服」されたがっているように見える。
しかし、その原因は容易なことでは特定されない。
嫉妬の対象に対する「観察」が実はさらなる「嫉妬」を生み出すのだ。
嫉妬は、「湿疹のように」掻けば掻くほどによけい悪化する。
良き観察者とは、常に嫉妬深い。