「卑劣なテロ」

「卑劣なテロ」「テロとの戦い」について、考えたことを書いてみる。
アルジェリアの石油プラントがある。そこに、テロリストが来て、働いている人を人質に取り、立てこもる。アルジェリア政府は、テロリストとの交渉は拒否し、軍事作戦を実行する。戦闘になり、人質は殺され、テロリストも殺され事件は終結をみる。
テロリストは、個人の意思でこのプラントを襲ったわけではない。テロリストの「司令官」が命令して実行させた組織的なテロである。司令官は、日本人を人質にとるように指示しているし、時間をかけ、綿密な準備をした上での軍事作戦である。テロ組織は、多国籍の人質をとることにより、政治的アピールのチャンスを得ると同時に、政治的な妥協、さらにはテロリストの安全な逃亡あるいは金さえ望んでいたと推測できる。
さらに言えば、アルジェリア政府が日本政府に遠慮して、日本人を人質にとれば、テロ組織の交渉力や影響力が増すと司令官は考えたのかもしれない。
安倍首相は、アルジェリア政府に「人命第一」の対応を要請した。しかし、実質的には無視された。つまり、アルジェリアでこのような事件が起こった場合に、日本は、アルジェリア政府と「人命最優先」での対応をするような「外交」関係にないのだ。日揮もそのことは承知していたはずだ。
テロ組織の政治的主張は、基本的な人権を無視し、身勝手で不当であると主張されている。
一方、テロ組織との戦いは、「長期戦」になるとも各国の政治指導者は考えている。これは、テロ組織が構造的な基盤を社会の中に持っているからだ。経済的、政治的、文化的にテロ組織が組織される力関係が存在している。
この基盤に踏み込んだ政策を実行することなく、テロを無くすことはできないことを各国の指導者は承知しているともいえる。だから「長期戦」になると言っている。
ここで「卑劣なテロ」と断言することに躊躇を覚える。その前に、やるべきことがあるのでは、ないか?