ヒット

囲い込まれたいか、囲い込まれたくないかと質問されれば、大抵の人が囲い込まれたくないと答えるだろう。
では、相手にされたいかされたくないかと問えば、それは相手にされたいと答えるだろう。
何かを売ろうとする人は、あらゆる手段を講じて客を囲い込もうとする。
売る人からすると、客は魚のようなもので逃げ足が速いものだろう。
客の立場からすると、別に逃げたいわけではない。良い時間で良い場所に欲しいくなるものがあれば、最高だと思っている。ぜひ相手にして欲しいと思っている。
面白いことに、この売り手と客のすれ違いの方が、一般的で、一致している方が例外的と考えられる点だ。
これは、客と売り手との間に常に分厚い壁が形成される傾向があることを意味している。
この分厚い壁は、客の側にとって何が「本当」に欲しいのかわからないという現象として現れる。
売る側にとっては、試行錯誤の連続となる。
そして、例外的な「ヒット」が思いもよらない場所から出現する。
出現の後に、色々な説明や理由が捏造される。
誰にもその秘密は、明かされないままとどまる。
かってのヒットメーカーも、今は何者でもない。
理屈ではない。
感性でもない。
ヒット商品というのは、「奇跡」なのだ。