ダイエット

ダイエット番組をみた。
面白半分に作った番組なのだが、「これは」と思ったのがあった。
それは、イメージをフルに利用した方法で、彼女は、ダイエット中に、ファッション雑誌を見ながら、自分が痩せたらと想像するのだ。これは、別に驚かない。
ダイエットをする励みになるのだろうと思うからだ。
しかし、さらに空腹に耐えかねて、料理の本を見ながら、その料理を食べているという想像をして、餓えをしのいだというのだ。
普通に考えれば、逆効果で、火に油を注ぐやり方だ。
女に餓えている囚人に、ストリップをみせるようなものだというか、クッキーモンスターにクッキーの写真を見せるようなものだ。
明らかに、「本物」が欲しくなるだろう。
ところが、不思議なことに彼女はこの空想により「本当」の餓えをしのぎ、ダイエットに成功したのだ。
非常に例外的ななりゆきで、どう考えればいいのだろうと悩んだ。
ものすごい食欲を前フリでみているので、決断力がある人とか意志の強い人とは思えない。

想像することと、実際に起こったことを「脳」は区別できないというお話を信用するしかないケースのように思う。
食事を想像することにより、実際の食欲が満たされたと考えるのが一番素直だろう。
とすれば、一般に信じられているように、想像と知覚は異なる能力ではなく、同じ影響力をもつ似た能力ということになる。
ダイエットに成功する人の第一条件は、想像力が知覚に対抗できるかどうかにあるのではなかろうか?
想像力というものを、二流の出来の悪い知覚ぐらいしか思っていない人は「本物」をありがたがるともいえる。
ダイエットに成功した人が、特別な人、芸術家のように見えるのはそのせいだろう。