宮下保司

宮下保司さんによると想像力と知覚の違いは、「イメージをつくる力の根本は、大脳前頭葉から、より低次の大脳領野へと情報を送り返すトップダウン信号と呼ばれる情報の流れにあります。他方、実在するものを見る通常の視覚の場合は、眼の網膜から脳の高次視覚野へ向かうボトムアップ信号と呼ばれる情報の流れが主役になっています。そして、トップダウン信号もボトムアップ信号もどちらも、大脳連合野(とくに高次視覚野)にあるイメージ表象――これは記憶の産物です――を活性化するという働きに関しては同じだ、ということになります。」
だとすると、ダイエットが成功したのはイメージ表象を活性化する手段としての通常の知覚を想像力の系統のトップダウンに切り替えることにあるようだ。
納得できる。
しかし、なぜ、このように二つの系統が発達したのだろうか?
ひとつは、やはり飢えを凌ぐためだったのかな?
実際にはなくても、想像すればすむというのは便利だ。
豊かな時代というのは、想像力にとっては、すみにくい世界なのだろう。