不況の効用

不況といえば、ロクなことじゃないということになっている。
売り上げが減る。借金が増える。不渡り。倒産。首切り。残ったものは超過勤務。うつ病。自殺。離婚。家族崩壊。社会不安。治安悪化。
しかし、一方、不況では、多くの企業が価格競争に巻き込まれる。非価格競争で、得ていた独占利得を諦めて、とにかく安くすることが至上、市場命令となるのだ。
消費者にすれば、同じサービスやモノが「適正」価格で手に入ることになる。
独占利得のお陰で、買えなかった層が不況による値引きで安く買えるようになる。
トヨタプリウスなど典型だ。
例えば、高級ホテルが倒産すれば、倒産価格で新しい経営者が同じサービスを格安で提供することにもなる。
このように、ある層では、明らかに不況により恩恵を受けることが分かる。
この恩恵を受ける層とは、例えば地方公務員なんか典型かもしれない。
不況でも安定した、普通の収入を得ている層だ。
こうした不況の費用と効用の関係を測定するものさしを作れば、適当な不況というのは、むしろ望ましいいうことになるのではなかろうか?
不況の悲惨で残酷な側面を強調するあまり、この明るい側面を無視あるいは過小評価すべきではない。
自殺の数とプリウスの売り上げを適当に重み付けして指標を作る。
露悪的指標ではあるが、学問なんてそんなもんよという気もする。