八ッ場ダム工事中止

八ッ場ダムのことが話題になっている。
民主としては、中止の方向のようだ。

地方が国政に翻弄された例として記憶されるだろう。
日本の安全保障を担う沖縄の状況を思い出させる。
一応建前としては、国益あるいは広い地域への便益の提供があり、それに対立する地方の利害あるいは生活がある。
当然、国の方も色々な補償を準備する。

「本当の国益」に資するものがあるとするならば、地方への手厚い補償と引き換えに事業を進めるべきだとは思う。

自民党がダムという公共工事を推進し、民主党がそれを中止するのはこの二つの政党の「お金を何処に使うか」という基本的な考え方の違いに由来する。

自民党からみれば、ダム建設は経済的にも政治的にも合理的な選択だ。
一方民主党にとっては、ダム建設は、土建業界に対する利益誘導にしかみえない。
それよりは、国民の財布に直接給付した方が、景気浮揚効果もあるし、政治的にも正しい。
しかし、それは自民党にとって、成長戦略なき、ジリ貧のバラマキ政策でしかない。
公共投資モデルと福祉国家モデルの戦いとはそうしたものだ。

今回の選挙で、この公共投資モデルは政治的には敗北した。
国民から支持されなくなった。
つまり、「本当の国益」はダムではなくなった。
である以上、八ッ場ダムの工事は、中止されると思う。
それは、単に一つのダムの建設中止決定ではない。
民主党アイデンティティーに直結しているからだ。
役人達への強いメッセージにもなる。

このように国政に翻弄される地元は気の毒としか言いようが無い。
工事中止に伴う痛みに、手厚い補償が必要だろう。