介護について1

同じ親を共有する兄弟、姉妹で親の介護に責任をもつ。
従来は、長男が親の面倒を看ることと引き換えに、家督を継ぐというパターンが典型だった。実際の親の面倒は、長男の嫁がみるという図式だ。
もし、長男が死亡あるいは経済力がない場合は、次男あるいは長女という順番になる。
このように、親の介護は家族内の問題として処理されていた。
しかし、民法上は親の財産は兄弟で均分に分割されることになっている。
実質、長男以外は、介護に関してフリーライダーだったのだ。
これは、おかしなことだった。
介護保険の導入以来この図式は、崩れ始める。
民法はともかく、概ね、親の財産は介護と引き換えに長男が独占していたわけだが、介護の社会化により、親の財産の一部は介護料として介護施設に流れることになる。
官主導で、介護市場というものが、創設されたのだ。
元手は、税金と長男に渡っていた親の財産ということになる。
利用者は一割負担で、これは長男が負担し、残りの9割は税金。
この税金は、長男次男長女次女に関係なく徴収されるので、介護の社会化とは経済的には、兄弟から「長男」への所得移転といえる。
これは、長男にとって「得」な兄弟との取引と感じられたのだろう。
少し、こういう視点から介護問題を考えてみようと思う。