介護について6

無償の愛といえば、宗教ではおなじみだ。
介護が宗教行為に近づくともいえる。
宗教の源泉にこの延長あるいは解体された家族関係とりわけ介護があるともいえる。
稀だが、介護に成功した人が、悟りを開いたお坊さんに似ているのもそのせいだろう。
「死」が永遠の負債(罪)からの「開放」を意味するところも、似ている。
永遠が「終わる」ということが、「お仕舞」にするということが、望まれるのだ。
「無償の愛」は、対価を望まない献身である。
しかし、介護はこの「無償の愛」に対する「対価」である。
「対価」である以上「無償」ではありえない。
だから介護を定義すらなら、「無償の愛」を「有償の愛」で贖おうとする不可能な努力となる。
実に、人間的、あまりに人間的だ。
実際に介護している人は、もちろんこんなニーチェ風の言葉で考えることはないだろう。
ただ、この「ハザマ」でもがき苦しむ。