津波対策をしてより安全な原子力発電を!!

政治的、経済的つまり国家的な視点から言えば、科学的、技術的な進歩という中立的な表層を装いながら「津波対策を強化した次世代原子力」をアピールしたいところだろう。
そのためにも、今回の福島原発事故は、「進歩」のための貴重な「実験」という位置づけになり、同じ過ちは繰り返しませんという言葉とともに、この挑戦的な「課題」に若き原子力学徒達は、その持てる力を発揮することになる。
一見異なる現象だが、「多剤耐性菌」と良く似ている。
病原菌に対してペニシリンを投与して「病気」を治す。
しかし。ペニシリンの効かない「想定外」の病原菌が出現する。そこでペニシリン以外の抗生物質を探索することが、挑戦的な「課題」となる。しかしこの新しい抗生物質が効かない「想定外」の病原菌が出現する。そこでまた新しい抗生物質を探す。そして「全ての抗生物質」の効かない「多剤耐性菌」というモンスターが出現する。
この「多剤耐性菌」こそが「今」取り組むべきチャレンジングな課題であることは言うまでもない。
新しいアプローチが生み出され、やがて克服されるという「希望」が当然のように共有される。
だれも死にたくは無いからだ。
確かに、新しい薬の開発を諦めたら、確かにこの「いたちごっこ」は終わる。
しかし、克服できない問題が残ることになる。

原子力が無ければ、原子力事故は防げる。
しかし。原子力が無ければ資源のない日本では、電力の供給が安定しないというだろう。
こうして、原子力「村」は、肥大していくだろうと予想できる。
科学技術がもつこのダークサイドを今回の福島原発事故ぐらい強烈に見せ付けてくれたものは無い。
私は、今回の事故が起こる前は「原発はエコでいいじゃない」ぐらいにしか思っていなかった。
しかし、コレは根本的に間違っていたと思う。
科学技術が人間には制御不能なモンスターを作り出す段階に我われは到達したのだ。
つまり、科学は科学的ではない。
それは、歴史に従属するべきだ。