続アメリカと銃

別の角度から、見てみる。
脳科学の知見として、報酬系としてA-10神経が知られている。この神経は、視床下部の性欲と食欲から、大脳辺縁系扁桃体での好き嫌い、側座核では、麻薬の作用点として、大脳新皮質では、高度な概念的な活動まで、つながっているという特徴がある。この神経細胞からの快感ホルモンであるドーパミンの放出により、生物的な要求から高度な知的な活動までコントロールしている。ドーパミンは快感を生むだけではなく、親子のように親密さを生み出す働きをするオキシトシンという物質を視床下部で生み出す。共感ホルモンとも言われるオキシトシンの神経をドーパミンの流れている神経が取り囲んでおり、ドーパミンが放出されると、その刺激でオキシトシンが分泌されるのだ。
人間の概念的な活動の生物学的根拠ではないかと思うのだが、喉が渇き水を飲めば快感が得られる。しかし、人間の場合自動販売機を見つけただけで、実際には渇きは癒されていないにも関わらず、先取りする形で快感を得てしまう。結婚詐欺という犯罪が成立するのは、婚約の約束だけで、結婚した気になるという快感の先取りがその根拠ではあるまいか?この能力はバーチャルな世界でも「本当」の快感を得てしまうことを示唆している。また、詐欺師の方は、共感ホルモンであるオキシトシンの分泌が少ないのかもしれない。
バーチャルセックスをリアルなセックスの代用品であるという説に対して、A10神経の存在はドーパミンの放出と言う意味では、脳科学的には、バーチャルとリアルの区別は「なく」同じ生物的な現象であることを示唆している。例えば、画像でしかないアニメや俳優にプラトニックな愛をささげてしまうことを「ばかげている」とは、いえない。むしろ、高度で知的な人間だからこそできる芸当で、ドーパミンによる快感とそれに連動したオキシトシンの分泌がなければ、社会そのものが存在も機能もしないことは明白だ。快感の共有による共感と快感の先取りにより、知らない人に対しても「共感の先取り」が可能になり社会的な包摂ができると言える。
これらの現象は、鼠や人間の脳の損傷、最新の検査機器などの知見から得られた実証的な根拠に基づいている。
アメリカの銃が人間の攻撃性に満足を与えるであろうことは間違いない。攻撃性は銃の所持により、充足されている推測できる。