バドミントン

バドミントンのプレイの中で、「クリア」と言われる技術がある。窮地に追い込まれた時の最後に残された手段である。なるべく高く、遠くにシャトルを飛ばし、こちらの体勢を立て直す「時間稼ぎ」の技術である。クリアが出来れば、少なくとも「負けにくくなる」。
テニスの錦織が少し前に強くなった時にスポーツ評論家が言っていたのだが、「負けない」テニスを覚えたからだそうだ。「汚いテニス」といっていたような気もする。要するに、しぶとく返して相手の「ミス」を待つ作戦。
我々レベルのバドミントンの場合これこそ最良の戦略と言っていい。クリアを続けていると勝ち気にはやった相手が自滅することがよくあるからだ。
端から見ていると、優雅にラリーを繰り返しているようにしか見えないし、事実そういう部分もある。クリアされたシャトルをスマッシュしても大抵は決まらず返されてしまい体力を消耗するからだ。
相手の体勢が崩れてスペースが出るまで揺さぶることになる。
負けない野球、負けないテニス、負けない柔道、負けない卓球、負けないサッカーといろいろあるとは思うが、バドミントンの場合クリアにより実質的にゲームがリセットされるのでゲームがある意味長く複雑になり、ちょっとした知的なカードゲームのような側面が出てくる。
サーカーのクリアーはゲームの中断だが、バドミントンの場合はラリーの継続になる。
野球で言えば、敬遠とか打者が嫌って打つファオルボールに似ている。レートが上がり、緊張感が高まる。
競輪の先頭争いの駆け引きとも似ている。必ずしも「勝負」を先に仕掛けることが有利ではないからだ。
バドミントンには、あるレベル以上では、サービスエースと言うものは存在しない。サービスを持っていることが必ずしも有利ではないのだ。