続アメリカと銃

イギリスの銃規制は日本とともに世界でも類まれなる厳しさを誇る。銃器不法所持の罰則は、日本は1年以上10年以下の懲役だが英国は5年以上の懲役で罰金の上限なしである。
この銃規制の厳しさは、北アイルランド独立運動と無関係ではないだろう。
北アイルランドのテロ組織IRAはあまりに有名だ。解決不能と思われたテロは、IRAの採用した武装闘争と非武装の政治闘争の組み合わせにより、イギリスとアイルランドの間にベルファスト合意にいたる和平プロセスを成立させる。
あの悪名高いテロ組織は、2005年7月から9月にかけて行われた武器放棄において、次に挙げる武器を合意の上で破壊した。

小銃 - 1,000丁
セムテックス - 3トン
重機関銃 - 20-30挺
地対空ミサイル - 7基
火炎放射器 - 7個
起爆装置 - 1,200個
対戦車ロケット弾 - 20発
軽機関銃 - 100挺
榴弾 - 100個以上(wikより)
である。もはや、武力に訴える必要が無くなったのだろう。
イギリスは、テロ組織とは交渉しないと言いつつ、水面下で妥協が探られていたということだ。
さらに付け加えれば、IRA政治組織のシン・フェインは現在北アイルランド議会の全108議席中24議席を獲得。英国議会下院においては5議席アイルランド共和国議会においては166議席中の14議席を占める。(wikより)
近年におけるシン・フェインへの支持の増加は、IRAの休戦が影響しているとの見方が強い。武装放棄により、一般の市民の支持を得やすくなった。これにより、テロが選挙に置き換わっていることがよく分かる。

IRAように対戦車ロケット弾20発をウォールストリートにぶち込もうとするテロ組織は、本当にアメリカに存在し得ないのだろうか?

明らかに、アメリカ政府は、イギリスのように国内におけるこのような政治テロの脅威を想定していないように見える。銃規制をしないのがその証拠だ。
持続的なテロに結びつくような根深く正当な政治的要求は、選挙により政策として吸収する自信でもあるのだろうか?